JCDデザインアワード2006審査経過
2006年、JCDデザインアワードは大きく改変して実施された。何故、改変したか。 空間デザインの関わる領域が多様化し、より大きな枠組みで空間デザインを認識する必要があるからだ。 建築とかインテリアデザインに限定するのではなく、コミュニケーションデザインという視点で空間デザインを確認することが求められた。 改変したことは以下の2点である。 1.応募方法をネット応募とし、応募の拡大を実現する。 2.審査方法と審査員を変え、多様でアクチュアルな審査の視点をつくる。 その結果、応募総数は例年の350点から490点(うち海外応募76点)となり、大きな成果を得た。また審査員は1次ネット審査に25名、2次本審査(公開審査)に8名のデザイナー、建築家、ジャーナリストが参加し、新しい時代のデザインの可能性をさぐった。特に7月4日の公開審査(東京デザインセンター)では、審査員の間で何度も判定が留保され、そのつど議論を繰り返すなかで受賞作が選出された。大賞の美容院は若い世代の建築家、中村拓志の作品である。建築空間を上下にダイナミックに分割し、人がそこを動くことで流れる空間が出現する。装飾的なアトモスフィアにたよらずに水平面への斬新な働きかけによって、力強い構成の豊かさな空間を創出したことが評価された。
[JCD理事長 飯島直樹]
年鑑日本の空間デザイン2007 / 六耀社