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「眼と精神」モーリス・メルロ=ポンティ著
50年来の友人長澤均さんは、僕の音楽無知の目をこじ開けてくれる先生だ。カセットテープでジャンゴ・ラインハルトなどを指南してくれた。
そんな先生が「イイジマさん!音楽は人を泣かすけどデザインじゃ泣かせないよね」と曰うのだ。しかしデザインと言ってイイのかわかりませんが、人が作った空間で背筋が凍るような体験が僕にはある。もしかしたら泣いていたかもしれない。
そのひとつが南仏プロヴァンスの山奥にあるル・トロネの修道院、石塊と光が溶け合うような15世紀のロマネスク建築である。この修道院を篠山紀信が三日間撮り続けた写真と磯崎新×五十嵐太郎の対話本があって、その中で磯崎さんは、この空間とフランスの哲学者モーリス・メルロ=ポンティの遺稿となるエッセイ「眼と精神」が地続きであると述べている。
というわけでこの本のエピソードを書きたいのだが長くなりすぎる。
具合がいいことに、あるオンラインマガジンでブックレビューのインタビューを受け「眼と精神」とル・トロネの空間について話したので、そちらを覗いていただければ有難い。
元商店建築編集長で今はメルボルン在の山倉礼士さんが始めたインディペンデントメディアはこちらから。Jp,idreit.com