- PEEK A BOO M2 <2001>
PEEK A BOO M2
2001
用途 /へアーサロン
所在地/東京都渋谷区神宮前
面積 /205㎡
- 浸透
仕事の失敗で忘れられないのが西武百貨店渋谷SEED。その頃まだ若い建築家だったデビット・チッパーフィールドが8階のISSEY MIYAKEのショップをデザインするなど、大勢のデザイナーが参加した。
私は1階と2階の担当で、2階のファッションショップの床に半透明の樹脂板を意気込んで貼った。まな板に使われる乳白色のポリエチレン樹脂で、積水樹脂の工場から直接入手した。
その床は、アイススケートのリンクのように美しく、SEIBUの最先端空間に相応しかった。
施工完了の翌日、「!!!」。一晩の暖房で樹脂が膨張し、床全体が大きく波打っていたのだった。自分で言うのもなんだが、私はこれ以上の「存在する」床を知らない。1986年の数日だけ実在した床である。
後年、懲りもせず、樹脂(メタクリル樹脂)を床壁に使ったのがこの美容室である。機能的には美容室の薬剤による汚れの防御だが、デザインの意図はSEEDのときと変わらない。
透過的乳白の表面に生じる数ミリの「知覚の浸透と流入」をかもし出すことだった。