- Aoビル商環境計画 | Ao <2009>







Aoビル商環境計画
2009
用途 /商業ビル
所在地/東京都港区北青山
面積 /10086㎡
建築設計/日本設計㎡
照明 /武石正宣
プロデュース/浜野安宏
- 部分から
全体像が留保され、部分と部分の接合しかないインテリアデザインの仕事がある。
床、壁、天井が断片に分断され、一点透視図のように全体を俯瞰し、接合することが許されない。
映画で言えば、シーンやシークエンスに辿り着かずに、ショット(部分)であることに耐える、そんな我慢のデザインの仕事だ。
このAoのインテリアデザインは、そういう仕事である。大型商業ビルの商環境デザイン。
店舗以外の共用通路やエントランスなど、いわば商業にとって付属品の部位によって、この商環境の何事かを抽出しなければならない。
厄介である。空間を構築するというよりも、断片の表面に耐えなければならない、我慢の仕事なのだった。
しかし私は、これはこれでおもしろいのではないか、と思った。「部分から」という観点があるのではないだろうか、と。
シークエンスに収斂する以前の、ショットのおもしろさ。
それは、ピアノをたたくように部分を単音で切断しながら、全体性を呼び起こすよりも、
むしろ離散させ振動するような空間を取得するおもしろさだ。
Aoの商環境はそのような空間取得である。
建築はソリッドで動的な格子パターンが立ち騒ぐ外観だった。
その建築の内側にあって、インテリアの部分と断片の表面は、ジャズの即興のように呼応した。