- SHUNKAN BACCARI DI NATURA <2002>
SHUNKAN BACCARI DI NATURA
2002
用途 /イタリアンレストラン
所在地/東京都新宿区
新宿 MY CITY 7F SHUNKAN
面積 /158㎡
- テリトリー
空間デザインはモダニズムのくくりの中で、20世紀のアートにつながっている。
そしてアートのコンセプトは、間接的に、今でも空間デザインのアイデアの中に生きている。
たとえばこのバカリ・ディ・ナトゥーラ。
このレストランは3000m2の大きなレストラン街「SHUNKAN」の中のひとつの店である。
「SHUNKAN」は特異なプロジェクトだ。3000m2をひとつの環境と捉え、15店舗はひとつの環境の中に融合しつつ、それぞれの店のデザインが特徴的であることを求められたのである。
融合させるために、各店舗はオープンスタイルであることが求められた。
つまり大きなワンネスの空間があり、そのワンネスの内側に融合しながら微細な差異をつくるという風変わりなコンセプトだったのだ。
これは20世紀アートのメルクマールであるジャクソン・ポロックの絵画(評論家グリーンバーグはその絵画をオールオーヴァーと呼んだ)の在り方に重なるように見える。
「SHUNKAN」はオールオーヴァーの概念にかなり近いアイデアで組み立てられているのだ。
このような背景があったので、バカリ・ディ・ナトゥーラのデザインは、全体のワンネスの中に、微細で最小限のテリトリーを設営した。
つまり、3000m2と、その中の165m2の店との二重関係を浮かび上がらせることのみが意図されている。
透明ガラスで店を囲うこと、そして囲うことの「意識」を可視化すること。
ガラスを介して、こちらとむこうの次元の偏差を作製すること。そうしたことのために、ガラスの表面に凸凹の歪みが施された。