iij_logo

- Works

- Restaurant



- 内儀屋 | KAMIYA <1991>

内儀屋
1991
用途 /和食店
所在地/東京都港区西麻布
面積 /65㎡
プロデュース/千根利明

- 粒子
写真家の杉本博司氏が最近のエッセイで仏像のことを書いていた。仏像は、青銅であったものが平安時代になると木彫りが多くなる。そのことが仏を神に近づけた。 つまり日本古来の木の精霊が輸入品である仏を神に引き寄せたのではないかと。たしかに、木にはそういう面がある。 「内儀屋」が開店したのは1991年。京都で探し求めた一枚板の木を使った。銀杏の木を地下のカウンターに(内儀屋はカウンター割烹の和食店)、樟の木を1階の大テーブルに用いた。 樟の木は1年以上も清々しい香を立ちのぼらせた。私は、手漉きの和紙の袋張り、黒く焼いた鉄、特注のテラゾーの床など、身体と物との密度の高い照応をつくりたかった。 長い間この店で酒を飲み、物はどれも身に馴染んだが、何にも増して強くあり続け、触れた瞬間にむこう側から何事か押し返してくるものは、一枚板の木の塊だった。 ヒトの身体と物質の間には、粒子の流入のような次第や相補的な相互作用というものが、事実あるのかもしれない。

有限会社 飯島直樹デザイン室
Copyright IIJIMA DESIGN. All rights reserved.